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オトナの社会見学/第二弾「全国高校野球選手権大会」
生活・生きる

甲子園。

プロ野球は見ないけど、高校野球を見る人は多いようです。自分の周りにも、そういう人は結構います。高校野球を見ていれば、お気に入りの選手のその後を追うなどして自然とプロ野球へと興味が向きそうなものですが、高校野球だけが好きな人にとって、そのお気に入りの選手の物語が完結するのはあくまで夏の甲子園球場であり、以後の物語にはほとんど関心が向かないというのが実情のようです。今年に限っては斉藤君という近年稀に見るベビーフェースの登場により、選手のその後にも世間の興味は少なからず向いているようですが、このケースはあくまで例外中の例外であって、たとえば去年、夏の選手権を沸かせた大阪桐蔭平田選手がつい先日、中日の一軍に昇格して対阪神戦で甲子園球場に帰ってきたのですが、そのことを大々的に取り上げたメディアはどこにもなかったように思います。

さて、そこまで多くの人を惹き付ける高校野球とはいったい何なのでしょうか。先頃、野球殿堂入りをされた豊田泰光氏は週刊ベースボールのコラム「俺が許さん」第644回の中でこのように言っています。

たかだか100年足らずですよ、高校野球の全国規模の大会が始まってから。それが、日本国民をあれだけ熱狂させるんです。こんなスポーツ他にないでしょう。(中略)変な言い方になりますが、高校野球は、日本人がそこから足を洗うことのできない文化なんです。大げさでなく、日本民族が消滅する時まで持ち続けなければならない文化なんです。


日本が消えるまで持ち続けなければいけない文化だなんて凄いですね。ただ依然、その凄さが何なのかはよく分かりません。原因は、おそらく自分の態度にあるのではないかと思いました。テレビの前で漫然と見ているだけでは気づかない何かを見落としている可能性があるのではないか。実際に行ってみなければ分からない何かが高校野球にはあるのではないか。


というわけで、今回の社会見学は夏の選手権を見に甲子園球場に行ってみることにしました。本当は最初から全試合見たかったのですが、仕事の都合もあってなかなか時間が取れず、仕方がないのでお盆の帰省ラッシュが終わるのを待ってから出発をすることにしました。

元気良く出発。

午前五時起床。七時半発の新幹線に乗って元気良く大阪に出発です。

ワクワク。

車中でも甲子園が気になって仕方ありません。

着きました!

いきなりですが着きました。

現地コーディネーターの千葉君です。

満員でしたが現地コーディネーターの千葉君が席を取っておいてくれたので座ることができました。玉手、思いきりはしゃいでいます。

真っ黒!

選手権を予選から100試合以上見ている千葉君は日焼けで真っ黒。

とにかく熱い!

観戦から数分後、うだるような暑さに耐えかねて早くも頭にタオルを巻きました。グラウンドはさらに暑いそうですから高校球児は本当に立派です。

凄い試合でした。

試合はいきなり延長戦に。甲子園は大盛り上がりです。その後、八重山商工と智弁和歌山の試合も観戦。智弁和歌山広井君の本塁打が2本も飛び出すこちらも大熱戦でした。

ヒリヒリして痛い。

ホテルに帰ってびっくり。僅か半日の観戦で驚くほどの日焼けをしています。デリケートなお肌の方は日焼け止めクリームを常備した方がいいかもしれません。

練習する駒苫ナイン。

翌日、自分の生まれでもある北海道の駒大苫小牧を応援する為、二時間前に球場入り。さすがにまだ空いていますが、駒苫ナインの練習を見れて何だか得した気分に。

格好良い。

投球練習をする田中君。

暑い中、ご苦労様です。

アルプス席ではブラスバンドが練習をしています。

やったー!

結果は駒大苫小牧の逆転勝ち。

ばんざーい!

千葉君とばんざーい!

智弁応援団。

次は智弁和歌山と帝京の試合。智弁は応援団が格好良いので一塁側のアルプス席へと移動。

ガラガラ。

帝京側のアルプス席はガラガラ。人気ないようです。最初は千葉君と苦笑しながら試合を見ていたのですが、まさかこの試合が球史に残る伝説の試合になるとは……。

このスコアボードを見よ!

スコアボードをよく見てください。大変なことになっています。誰もが帝京の敗北を疑わなかった4点差9回ツーアウトからあれよあれよと帝京が8点奪取。その裏、智弁がさらに4点差をはねかえす押し出しの逆転サヨナラ勝ち! 甲子園に野球の神様が降りた!

観客総立ち。

観客はもちろん総立ち。このとき覚えた興奮と感動はいまでも忘れられません。もしかしたらこれが豊田泰光氏いわく「日本人がそこから足を洗うことのできない文化」なのではないかといまにして思うのですが、試合終了後は頭が真っ白でしばらくその場から動くことができませんでした。

感動をありがとう!

帰り際、バスへとむかう帝京のチアガールを見かけました。みんな泣いていました。アルプス席はガラガラだったけどよく頑張った! 感動をありがとう!

寝ています。

さすがにこの日は疲れました。翌日に備えてさっさと就寝です。


以下、準決勝の大一番までダイジェストで。

日大山形のマネージャーさん。

メガホンを配る日大山形のマネージャーさん。

巨大メガホン。

応援する野球部のみなさん。

千葉君。

応援する千葉君。


それぞれの思い届かず、日大山形、早実に逆転負け。続いての試合は鹿児島工業が福知山成美に勝利。薩摩の春男児こと今吉君も代打で球場を沸かせました。


そしてついに……。

大一番。

一昨日、帝京との激戦を制した智弁和歌山と駒大苫小牧が準決勝で激突。大方の予想は智弁優位でしたので応援にも気合いが入ります。いざ駒大苫小牧アルプス席へ!

応援するぞ!

試合開始前、チアガールのみなさんが観客にアピールを。こういうのがプロ野球とは違っていいですね。ちなみにうしろに見える人文字は広島カープのマークではありません。

野球部のみんなも大声援!

応援歌の駒大コンバット苫小牧バージョン(駒大コンバットを多少アレンジ)はノリも良くて観客席も大盛り上がり。野球部のみなさんも声を枯らしてチームメートを応援します。

あまり売れていない。

甲子園名物売り子のお兄さんも「カッセ、カッセ、十六茶!」と便乗商売を。

雨。

試合は途中で雨が降り出すも田中君の好投で危なげなく勝利。それにしてもあの智弁打線を自責点1に抑えるとは驚きです。田中君の底力を思い知らされました。

決勝進出!


玉手も真っ黒に。

こうして玉手の甲子園体験は終わりました。そこまで見たなら決勝も見ろよ、というツッコミが聞こえてきそうですが、金がなくなったのでしかたありません。最後まで甲子園に残る千葉君と握手を交わして断腸の思いで大阪を去ることにしました。




それは夢……。

球場で見る野球以外はすべてまがい物。甲子園に行ってみて、あらためてそう考えるようになりました。研ぎ澄まされた技術と肉体の躍動を楽しむプロ野球とは違って、高校野球には選手と、それを支える人たちとの間に濃厚なドラマがありました。たった数日でこれだけの体験ができたのですから、秋の新チーム発足から春の選抜、そして夏の選手権とチームを追っていけば、そのドラマはさらに濃厚なものとなっていたことでしょう。もはやそれは野球を越えた、普遍的な人間のドラマなのかもしれません。「日本民族が消滅する時まで持ち続けなければならない文化」とは、つまりその人間の有り様を言っているのではないかと思いつつも、答えはまだ遠く先の方にあるような気がしています。


取材・文/玉手秀明

協力/千葉智紹

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