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そうだ。 2006年6月18日。FIFAワールドカップ「日本対クロアチア戦」当日、ドイツのニュルンベルクにて熱戦を繰り広げている代表イレブンを応援すべくパブリックビューに集まったサムライブルーの徒党を取材しようと、アジア最大の歓楽街とも謳われる、東京・新宿ヘと向かったのだった(そのときの模様はこちら→オレ流W杯観戦記 「熱闘歌舞伎町2006!!」)。 実はこのとき私は、スポーツバーに向かう玉手副編集長と途中で別れ、不夜城とは思えぬほど人もまばらな歌舞伎町をひとり歩いていた。 もうひとつの視点から、この「2006ワールドカップ狂騒曲」を眺めてみたかったからだ。 「取ったよ、ニッポン、一点」 老人がヘッドホンで聴いているのはラジオのサッカー中継だったようだ。それを期に、私はその場にしゃがみこみ、しばらくその老人と語り合い、笑い合い、酒を飲むことになる。 「俺わあさ、山形の天童出身だからあさ、天童でいいよ、天童」 インターネットで雑誌みたいなものを作っていて、今日の歌舞伎町の様子を取材しているので、良かったら天童さんの話を訊かせてもらえないだろうか、と打診してみた。 「ネットワークに写真が出るだけなら別にいいけどさ、俺わあさ、ホームレスだからあさ……」 興味本位ではない、と言ったら嘘になる。 いくぶん酒に酔っていた私は、日頃「ホームレス」という存在に対して抱いている不可思議のありったけを、天童さんにぶつけてみた。住まいは? 家族は? 職歴は? ふだんの食事は?…… 「この辺歩いてると、肉も魚も、酒だってなんとかなるもんなんだよ。ただ、炊きたての白い飯だけは、ボランティアの配給でもなかなか、ね。米が美味いところで育ったもんだからあね……」 ところでみなさん、肉はお好きですか? とてもお好きなようですね。(2006.9.18撮影) 街中を歩けば 肉を食べられるお店が ことの発端は、玉手副編集長が午後5時になると決まって夢中でパクつくおやつ…… ご存知「サラミ」です。
確かにそうでした。かくいう私も、酒を飲んでしまえば何の肉だかわからないサラミどころか、何を食べたのか? すら忘れてしまうようなおっちょこちょいだったのです。 三十代もそろそろ半ばに差し掛かろうとしている桜樹ルイ世代のご多分に漏れず、最近、お腹の周りが気になりだしました。 怖いですよね、メタボリック症候群。 まずは日頃の食生活を振り返りながら過ごしてみよう、ということで写真を撮ってみることにしました。 そう、その日食べた…… 血合いに宿るエロティシズムと艶かしく濡れそぼる蜜汁、芳香なうま味のシズル感を追求した、こんな肉の接写が、未だかつてあったであろうか? 私はそれを「ペロ肉写真」と命名しました。 そしてまた、肉をテーマとして取り挙げるからには決して避けては通れない、今もなお根強く疑問視されている(牛)肉の安全性や信頼性に関する問題に一石を投じるためにも……。 座右の銘は「いつもじぶんにごくろうさん」。編集部員たちの憂いを背なでたち斬り、わたくし小林辰巳が、世界初のペロ肉写真家として活動を始めて早一ヶ月。 きっと、みなさんだって知らず知らずのうちに、しちゃってるんですよ、結構…… ペロ肉。 果たして、これらの肉はどこの国で飼育されてどうやって加工された、いったいどんなものなのか? よしんば、それら安全確保のための情報整備(牛肉のトレーサビリティと牛の個体識別-農林水産省のパンフレット/PDF)が確立されたとして、それをあなたは…… 周囲の雑居ビルから怒号が響いた。どうやら、クロアチアが得点したようだった。 途中、小雨がぱらついてきたので私たちは屋根のある場所へと移動した。ふとした怪我がもとで立ち食いそば屋店長の職を追われたという天童さん、件の右足を引きずりながら歩いて、こう、つぶやいた。 「あったかくて美味い米、それと、肉もね。その辺で(コンビニ等で賞味期限が)キれたやつやなんかもらって食べるでしょ。ちっともうまくないやあ。そう、肉だって山形のは美味いんだあ、米沢牛とかね……」 そういえばこの日、天童さんと私は歌舞伎町に居た。 |

「玉手君、そんなサラミみたいな何の肉が入っているかわからないものばかり食べてると、身体壊すよう。ちゃんと栄養になるものを食べないとさ」
「何の肉が入っているかわからない、って……。肉だって栄養になるじゃないですかあ。僕は小林さんみたいに酒を飲みませんから、これくらいなんてことないですよっ。ぷりんっ!」


