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のだめカンタービレ考。
玉手秀明

フジの月9「のだめカンタービレ」が面白い。ドラマを見るのは「3年B組金八先生パート7」以来だと思う。そもそもテレビ自体をあまり見なくなっているので、これはかなり珍しいことである。

いったい何が面白いのかというと、まず原作の漫画が面白い。タイトルにある「のだめ」こと主人公の野田恵が、物語の展開にあまり深く関わらないところが面白い。現在進行中の「外国編」ではややその傾向が薄まりつつも、ことドラマでもその核をなすであろう「日本編」の物語をひっぱるのはむしろエリート音大生であり指揮者志望の千秋真一の方で、野田恵はその周囲をうろちょろしているだけ、という点が非常に愉快なのである。物語序盤でシュトレーゼマンからオーケストラの「マスコット」に任命される野田恵は、以降、その役割をまっとうするかのようにストーリーの飾り物であり続ける。時折、千秋真一に指揮を上手く進めるためのヒントやら何やらを与えたりはするものの、それは野田恵が自らすすんでそうしているわけではなく、ただやりたい放題やっていることを千秋真一の方が何かしらの手がかりとして解釈をしているだけなのだ。つまり野田恵は、物語の最初から最後まで、本当に好き勝手にやっている。他人の弁当を盗んだり、不気味な化粧をしたり、奇声を発して周囲を驚かせたりともはや完全に常軌を逸しているのだ。その奇行ぶりはカンタービレ(歌うように)というよりも、むしろミステリオーソ(神秘的に)といった方が正しいかもしれない。

のだめカンタービレ。

さて、そんな野田恵をドラマで演じるのは上野樹里、「スウィングガールズ」の主役で名を上げた若手の有望株である。この文章を書くにあたって彼女の事務所のホームページに載っている経歴を調べてみたら、1986年の生まれであることを知って驚いた。もっと上だと思っていたのだ。映画「亀は意外と早く泳ぐ」で主婦役(空返事を連発する場面が素晴らしい)を演じていたときは、まだ十代だったのである。ちなみに今回の野田恵役は原作者たっての希望だったそうで、確かに前回、他局でドラマ化される予定だったときも野田恵役にキャスティングされていたのは上野樹里だった。それから一般人には窺い知れぬ紆余曲折があってフジで「のだめ」がドラマ化されることになったわけだが、さすが二度も主役に抜擢されただけあって、なかなか見事な演技を披露してくれている。同じ役を誰か他の女優で、と考えてみても名前が浮かんでこない。実力派の若手女優は最近増えてきているものの、これほど堂々としたコメディエンヌぶりを披露してくれる女優はいまどき彼女くらいしかいないのではないだろうか。

プリごろ太。

残念なのは演出がやや散漫というか、いかにも漫画的なスローモーションの多用や「プリごろ太」を実際にアニメ化するなど良い点もあるにせよ、初回に炸裂したチープ感(飛行機の胴体着陸をミニチュアで再現した!)をその他の遊びどころ、例えばコタツを宇宙空間に浮かばせるCG使用画面(コタツはピアノ線で吊るすべき)や千秋幼少時の外国の場面(バックに幕を張って外国の映像を流すだけで良く、千秋の恩師ヴィエラも竹中と同じく付け鼻の日本人が演じればよかった)でさらに徹底していけば後に名作と呼ばれるドラマになりうると思うので、誰が演出しているのかは知らないがもっとガンガン野田恵のように好き放題やって月曜9時を心から楽しみにさせてほしいものだ。


追記、もし高視聴率を獲得してフジお得意の映画化がされるとしたら、「外国編」は本当に外国に行って名のある監督に撮らせたら面白いのではないかと思う。個人的には「外国編」になってからの「のだめ」はあまり好きではないのだけど。

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コメント
玉手秀明

終わりました。のだめカンタービレ。終盤はかなり駆け足で最後に必ず演奏会というパターンにちょっと食傷気味にもなりましたが、まあ、底々楽しめました。ただ、ラストにライジング・スターオケがSオケみたいに曲芸をやってしまうのはどうかと。過剰演出です。あと気になるのは海外編があるのかどうか。全編海外ロケはさすがに無理かと思いますが、続きに含みを持たせた部分(黒木くんが春にまた会おうと言うところなど)もあったので多少、気にはなります。

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